借入をしようと思った時に、必ずといっていいほど関係してくるのが総量規制です。
総量規制のことはなんとなく知っていても、計算方法があいまいな人は意外と多いのではないでしょうか。
- そもそも年収の3分の1はどうやって計算するのか
- 自分の年収だといくらぐらい借りられるのか
- 他社借入がある場合はどうなるのか
- 年収には何が含まれるのか
このような悩みを持つ人のために、この記事では年収別の借入可能額から他社借入がある場合の計算方法まで解説していきます。
総量規制以上に借りる裏技も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
総量規制とは、過剰な貸し借りを防ぐために借入限度額を定めたルールのことで、貸金業法という法律に基づいています。
貸付は申込者の年収の3分の1までと決まっており、正規の貸金業者は必ずこのルールを守っています。
消費者金融などの貸金業者からの借入が対象で、銀行からの借入は当てはまりません。
総量規制の計算方法は?年収の3分の1が借入限度額
総量規制の借入限度額は、年収の3分の1と定められています。
年収の3分の1の計算は次の計算式で簡単にできます。
国税庁の調査によると日本人の平均年収は467万円で、これを利用して実際に計算してみると以下のようになります。
467万円÷3≒155万円
この場合は155万円が借入限度額となり、それ以上の借入は原則できません。
中には総量規制以上に借りられる方法もありますが、それについては後述します。
他社借入があるときの計算方法
一つ注意しておきたいのが、他社借入も合わせて年収の3分の1までしか借りられないということです。
つまり、すでに他社借入がある場合の借入限度額は、年収の3分の1から他社借入額を引いた額になります。
例えば年収467万円の人が現在50万円の他社借入をしているとすると、借入限度額は以下のようになります。
155万円−50万円=105万円
この例で考えると、105万円が新規借入可能額です。
年収別の借入限度額を以下にまとめましたので、参考にしてください。
年収 | 借入限度額(概算) | 他社借入10万円 | 他社借入30万円 | 他社借入50万円 |
---|---|---|---|---|
150万円 | 50万円 | 40万円 | 20万円 | 0円 |
200万円 | 66万円 | 56万円 | 36万円 | 16万円 |
250万円 | 83万円 | 73万円 | 53万円 | 33万円 |
300万円 | 100万円 | 90万円 | 70万円 | 50万円 |
350万円 | 116万円 | 106万円 | 86万円 | 66万円 |
400万円 | 133万円 | 123万円 | 103万円 | 83万円 |
450万円 | 150万円 | 140万円 | 120万円 | 100万円 |
500万円 | 166万円 | 156万円 | 136万円 | 116万円 |
550万円 | 183万円 | 173万円 | 153万円 | 133万円 |
600万円 | 200万円 | 190万円 | 170万円 | 150万円 |
年収に含まれるものは5種類ある
年収に含まれるものは、主にこの5種類です。
- 給与
- 年金
- 恩給(公務員が退職、または死亡した時にもらえる年金)
- 不動産の賃貸収入(事業は除く)
- 年間の事業所得
参照元: 「総量規制について」日本貸金業協会
一つずつ詳しく解説していきますので、参考にしてみてください。
給与は手取りではなく総支給額で計算する
給与は手取り金額ではなく、総支給額で計算します。
手取り金額とは総支給額から税金や社会保険料を引いて、実際に手元に残るお金のことです。
差し引かれる金額の例としては、次のようなものが挙げられます。
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金
- 雇用保険
- 所得税
- 住民税
これらは給与から天引きされるため、手取り金額は総支給額のおよそ7〜8割になります。
総支給額とは税込年収とも呼ばれ、何も差し引かれていない状態の給与のことを指します。
総量規制の計算には必ず総支給額を使うので、間違えないように気をつけましょう。
年金は公的年金と私的年金の両方が含まれる
年金収入も年収に含まれます。
国民年金や厚生年金などの公的年金はもちろんですが、任意で加入する私的年金も年収に含まれます。
私的年金は公的年金に上乗せして支払うことで将来の年金受給額を上げられる制度で、利用者は年々増加しています。
私的年金の例は以下のとおりです。
- 国民年金基金
- 確定給付企業年金(DB)
- 確定拠出年金制度(DC)
- 厚生年金基金制度
ただし実際に借入をする際には、年金以外の収入が必要になるので覚えておきましょう。
アルバイトやパートで月に数万円ほど収入があれば借入できますので、お小遣い稼ぎのつもりで働いておくだけでもいざという時に役に立ちます。
恩給も年収の計算に入る
恩給とは、公務員が退職もしくは死亡した時に支給される年金のことです。
ただし現在は共済制度に移行しているので、恩給の対象者は国家公務員の場合は昭和34年、地方公務員の場合は昭和37年より前に退職した人に限定されています。
年金と同じように、実際に借入をする際には恩給以外の収入があることが条件になるので覚えておいてください。
不動産の賃貸収入も年収になる
個人でおこなっている不動産賃貸の収入も、年収に含まれます。
- 購入したマンションの1室を人に貸している
- アパートを所有し、大家として部屋を貸している
本業はサラリーマンで、副業として不動産賃貸業をおこなっている人も多いのではないでしょうか。
その場合はサラリーマンとして得た給与と、賃貸収入を合算した金額が年収としてカウントされます。
ただし不動産貸付を事業としておこなっている場合は、年収に含みません。
不動産貸付が事業として認められる基準は、国税庁が次のように定義しています。
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。 ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
つまり一戸建ては5棟以上、アパートであれば10室以上持っていれば事業とみなされるということです。
この定義を専門用語で5棟10室基準といいます。
不動産賃貸をしている人は、事業か個人かで年収が大きく左右されますので気をつけてください。
個人事業主は事業所得が年収になる
自営業者などの個人事業主は、事業所得が年収になります。
事業所得とは総収入金額から必要経費を差し引いた金額のことで、次のような式で計算されます。
事業所得=総収入金額−必要経費
事業所得の総収入金額とは、その年に確定した売り上げ金額のことです。
必要経費としては、下記のようなものが挙げられます。
【必要経費】
- 売上原価(商品などの仕入れ代金)
- 従業員への給与
- 減価償却費
- 広告宣伝費
- 家賃
- 水道、光熱費
- 固定資産税
会社員は総支給額が年収になりますが、個人事業主は総収入金額から必要経費を差し引いた事業所得が年収にカウントされるので、間違えないようにしましょう。
宝くじやギャンブルなどの一時的な収入は年収に含まれない
宝くじやギャンブルなどの一時的な収入は年収に含まれません。
- 宝くじ
- ギャンブルで得たお金(競馬、競輪、パチンコなど)
- 株式配当
- 預貯金利息金
- 保険金(生命保険、損害保険)
年収に含まれる収入は、安定していることが絶対条件です。
そのため宝くじやギャンブルで得たお金は、どんなに高額であっても年収には含まれません。
配当金や利息金、保険金も一時的な収入なので、年収として計算しないようにしてください。
年収を証明できる書類を以下にまとめました。
どれも最新のものであることが重要なポイントですので、覚えておきましょう。
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 支払調書
- 確定申告書
- 青色申告決算書
- 収支内訳書
- 納税通知書
- 所得証明書
- 年金証書
- 年金通知書
参照元: 「年収を証明する書類とは」日本貸金業協会
他社借入にカウントされる2つの借入
他社借入にカウントされる借入は、2つあります。
- 消費者金融
- クレジットカードのキャッシング
おさらいになりますが、総量規制は貸金業法上のルールなので、貸金業者である消費者金融からの借入は基本的に他社借入にカウントされます。
銀行法に則って運営をしている銀行はすべてのローンが総量規制の対象外なので、他社借入にカウントされません。
またクレジットカードのキャッシングも貸金業法に基づいて現金を貸しているため、総量規制の3分の1の計算に含まれます。
仮に総量規制を超えた貸付がおこなわれた場合、申込者への罰則はありませんが、貸した業者には営業停止という重い処分が下ります。
ただし消費者金融にも総量規制以上に借りられる方法があるため、覚えておくといざという時に役立ちます。
他社借入がある場合の借入方法については以下の記事でも紹介していますので、合わせてご覧ください。
消費者金融でも総量規制以上に借りられる方法がある
消費者金融でも総量規制以上に借りられる方法は2種類あります。
- 除外貸付
- 例外貸付
この2つの大きな違いは、借入額が総量規制の3分の1の借入額にカウントされるかどうかです。
除外貸付 | 借入額にカウントされない |
---|---|
例外貸付 | 借入額にカウントされる |
なぜ除外貸付は総量規制の3分の1の借入額には含まれず、例外貸付は含まれてしまうのでしょうか。
具体例を挙げながら解説していきます。
除外貸付は高額のため総量規制にカウントされない
除外貸付は高額の貸付が多いため、総量規制にカウントされません。
除外貸付の一覧は次のとおりです。
- 不動産購入のための貸し付け(住宅ローン)
- 自動車購入時の自動車担保貸し付け(自動車ローン)
- 高額医療費の貸し付け
- 有価証券を担保にした貸し付け
- 自宅以外の不動産を担保にする貸し付け(不動産担保ローン)
- 売却予定不動産の売却代金で返済される貸し付け
住宅ローンや自動車ローンなどの何百万、何千万という高額な貸付を総量規制の借入額にカウントしてしまうと、利用できる人が極端に少なくなってしまいます。
そのため、上記の貸付は総量規制の借入額にカウントされません。
また住宅ローンを借りていても総量規制には無関係なので、年収の3分の1の150万円までなら追加で借入ができます。
例外貸付は緊急性が高いため総量規制以上の借入ができる
申込者が有利になったり、緊急でお金が必要だと考えられる場合の貸付は、例外貸付として総量規制以上の借入ができます。
例外貸付にあたるのは以下のとおりです。
- 顧客に一方的に有利な借り換え(おまとめローン)
- 借入残高を減らすための借り換え(おまとめローン)
- 緊急に必要な医療費
- 社会通念上必要と認められる費用の貸し付け
- 配偶者と合わせて年収3分の1以下の貸し付け(配偶者貸付)
- 個人事業者への貸し付け
- 金融機関から貸し付けを受けるまでのつなぎ資金
例えば年収300万円で現在の借入が100万円ある人でも、おまとめローンを利用すればさらに100万円の借入が可能です。
除外貸付とは違って総量規制の借入額にカウントされるので、総量規制以上の金額を借りると返済するまで他の借入ができない点に注意してください。
ただしその場合でも、除外貸付か例外貸付なら追加で借入ができます。
例外貸付の中で、複数借入がある時に役に立つのがおまとめローンです。
総量規制ギリギリまで借りている人でも、複数の借入をまとめて一本化できるおまとめローンを使えば、総量規制以上の借入をすることができます。
まとめることで支払日の管理がしやすくなるだけでなく、金利も減って毎月の支払いが楽になるメリットがあります。
数あるおまとめローンの中で審査の早さや金利の低さ、使い勝手の良さを総合的に判断して最もおすすめなのが、アイフルのおまとめローンです。
商品名 | 金利 | |
---|---|---|
アイフル | かりかえMAX (新規顧客用) おまとめMAX(既存顧客用) |
3.0〜17.5% |
プロミス | 貸金業法に基づくおまとめローン | 6.3〜17.8% |
アコム | 貸金業法に基づく借換え専用ローン | 7.7〜18.0% |
レイクALSA | 受付終了 | (通常カードローン金利) 4.5〜18.0% |
SMBCモビット | 取扱なし | (通常カードローン金利) 3.0〜18.0% |
アイフルのかりかえMAXという商品は金利が3.0〜17.5%と、他社と比べて最も低いです。
アイフルは銀行傘下ではない独立系の会社なので、銀行からの借入もまとめられるメリットがあります。
また他社のおまとめローンは来店か電話で申し込まなければいけませんが、アイフルはネットで申し込みができるので忙しい人にもぴったりです。
どこに申し込むか迷ったら、まずアイフルに相談してみましょう。
クレジットカードのキャッシングは総量規制の対象
クレジットカードには、ショッピングとキャッシングという2つの使い方があります。
キャッシングとはクレジットカードを使ってATMからお金を引き出せるサービスのことで、総量規制の対象になっています。
一方、買い物の時に使うショッピングには割賦販売法という法律が適用されているので、総量規制の対象にはなりません。
総量規制とクレジットカードの関係については、以下の記事も合わせてご覧ください。
銀行は総量規制の対象外だけど審査は厳しい
総量規制は貸金業法上のルールなので、銀行法に則って運営している銀行は総量規制対象外になります。
銀行のローンなら低金利で借りられますし、消費者金融より行き慣れているので銀行のほうが安心だと考える人もいるかもしれません。
しかし銀行の審査は消費者金融と比べてはるかに厳しいうえ、審査にも時間がかかります。
また総量規制対象外にも関わらず、年収の3分の1以上の借入は難しいのが現状です。
銀行からの借入が難しくなった背景には、銀行の自主規制が関係しています。
銀行は自主規制により年収の3分の1以上は借りられない
平成29年を境に、銀行は総量規制と同じように年収の3分の1以上の借入を制限するようになりました。
三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガ銀行がカードローンの融資額を利用者の年収の2分の1や3分の1までとする自主ルールを導入したことが19日、わかった。返済能力を十分に確認しない過剰な融資が多重債務問題を再燃させかねないとの社会的な批判に対応。
これを自主規制といいます。
そもそも総量規制が定められたのは、消費者金融が申込者の返済能力を超えた貸付をおこなったために多重債務者が増加し、深刻な社会問題になったことが原因でした。
平成22年に改正貸金業法が完全施行され、総量規制が定められてから、消費者金融でお金を借りられなくなった人たちが総量規制対象外である銀行カードローンを利用するようになりました。
銀行は高い利息を取れるカードローンに力を入れ始め、年収の3分の1以上の貸付を次々におこなっていました。
その結果、減少傾向にあった多重債務者が再び増加してしまい、銀行はバッシングを浴びるようになりました。
銀行の審査が厳しくなったのはそのためです。
年収の3分の1以上の借入をするには、アイフルのような大手消費者金融を利用するのがベストです。
上述のように銀行のローンは審査が非常に厳しいため、年収の3分の1以上の借入は難しいです。
おまとめローンを利用することで、消費者金融でも総量規制以上の借入ができます。
アイフルのかりかえMAXなら土日祝日でも審査が可能で、ネットから申し込めるので使いやすさは断トツです。